近年、組織に縛られない自由な働き方として、フリーランスが増えています。フリーランスには「いつでもどこでも働ける」といったイメージがあり、興味がある人も多いと思います。では、実際にフリーランスはどんな仕事をして収入を得ているのでしょうか。
この記事では、フリーランスの働き方の詳細と未経験からフリーランスになる方法を紹介します。
フリーランスとは
フリーランスと名乗るための、明確な基準はありません。しかし、国が策定した「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」によると、以下のようになります。
「実店舗も雇い主もなく自身の経験・知識・スキルを活用して収入を得る人」
つまり、フリーランスとは企業や組織に属さず、仕事をする人のことです。
フリーランスは、企業や組織における就業規則がないため、自由な働き方が可能です。フリーランスは、自ら営業して仕事の依頼を獲得して、その依頼をこなして得ています。
フリーランスと会社員の違い
フリーランスと会社員の違いは、組織の所属の有無、給与の安定性、勤務地の有無、勤務時間の有無です。
フリーランスは組織に属さず、勤務地も自由で、就業時間も自由ですが、自身で仕事を確保する必要があります。フリーランスは、こなした仕事の依頼の報酬がそのまま給与です。
会社員は会社に雇われ、勤務地に出勤し、決められた就業時間で働きます。会社員の給与は定期的に貰えるので、フリーランスより安定しているといえるでしょう。
フリーランスと個人事業主の違い
フリーランスと個人事業主には、大きな違いはありません。
個人事業主とは、組織に属しておらず個人で開業届を出して事業を営む人のことです。実店舗を持つ場合もありますが、法人は設立していません。
国が策定したガイドラインから定義すると、フリーランスは実店舗を持ちませんが、個人事業主は持つときもあります。
フリーランスと個人事業主は、細かな違いはあるものの、大きな違いはないため混同されやすいようです。
フリーランスの働き方
フリーランスの働き方の大きな特徴は以下の3点です。
- 場所と時間を自分で調整する
- 仕事量を自分で調整する
- フリーランス以外の仕事とかけ持ちする
それぞれ見ていきましょう。
場所と時間を自分で調整する
フリーランスの働き方の特徴として、場所と時間を自分で調整できることが挙げられます。
フリーランスは働く場所が自由ですが、依頼された仕事によっては指定された場所に行く必要があります。働く時間も確かに自由ですが、20時間かかる仕事の納期が1日後であれば、時間的自由度が低くなる瞬間もあるでしょう。
仕事量を自分で調整する
フリーランスの働き方の特徴は、仕事量を自分で調整できることです。
フリーランスは自分で営業して仕事を確保します。営業を減らせば仕事量も減らせるでしょう。しかし、長期でおこなう仕事を持っている場合は、仕事量の調整は難しいかもしれません。
フリーランス以外の仕事とかけ持ちする
フリーランスはフリーランス以外の仕事とかけ持ちが可能です。
フリーランスの仕事は、収入が不安定な面があるので安定した収入が欲しいときに、フリーランス以外の仕事とかけ持ちができます。
フリーランスとして働くメリット
フリーランスとして働くメリットは以下の3点です。
- 働き方が自由
- 仕事の内容を選べる
- 収入を増やせる
順番に見ていきましょう。
働き方が自由
フリーランスのメリットとして、場所や時間を選ばず働けることが挙げられます。
フリーランスはいつでもどこでも働ける仕事も多いので、自分の裁量で働き方を決められます。カフェや自宅でも働けて、働く時間も自由です。
仕事の内容を選べる
受ける仕事の内容を選べるのも、フリーランスのメリットの1つです。やりたい仕事の依頼だけを受け、やりたくない仕事は受けないことも可能です。
会社員の場合、業務命令であれば断ることはできません。フリーランスは得意な仕事しか受けないこともできるため、そこもフリーランスの魅力の1つでしょう。
収入を増やせる
フリーランスのメリットは、自分の裁量で収入を増やせることです。
仕事の依頼によって報酬はさまざまですが、高単価な仕事を獲得すれば収入は増えます。単価の低い仕事でも量を多くこなせば、総合的な収入を増やせるでしょう。
フリーランスとして働くデメリット
フリーランスとして働くデメリットは以下の3点です。
- 収入が安定しない
- 自己管理が必要
- 福利厚生がない
順番に解説していきます。
収入が安定しない
フリーランスのデメリットは、収入が不安定なことです。
フリーランスは仕事を受注して、受注した仕事をこなすと報酬をもらえます。仕事を受注できなければ、収入はゼロです。
安定して仕事を受注できていたとしても、体調不良などで仕事ができない時期があれば収入がなくなります。
フリーランスの収入は仕事の受注ができなかったり、体調不良などで仕事がこなせなければ報酬が貰えないため、安定していません。
納期の管理が必要
フリーランスのデメリットは、納期の管理が必要なことです。
納期の管理とは、受注した仕事の期日の管理、納期に間に合わせるための作業時間の管理、納期までの間でその仕事に費やせる時間の管理のことです。
フリーランスは、すべて自分で考えて仕事をするため、納期の管理も自分でおこないます。複数の仕事を受注した場合は、納期や作業量から優先順位をつけて仕事をこなさなければなりません。
福利厚生がない
フリーランスには福利厚生がないこともデメリットです。
フリーランスは健康保険料を自分で負担します。会社員の場合、会社が健康保険料を一部負担してくれます。
また、フリーランスには有給休暇も特別休暇も存在しません。休みたい日がある場合は、自分でスケジュールを管理して休む日を作る必要があります。
フリーランスの代表的な職種
フリーランスには人気の高い代表的な職種があります。そのほとんどがITに関連した職種です。フリーランスの代表的な職種は以下の5つになります。
- プログラマー
- ライター
- 動画クリエイター
- デザイナー
- マーケター
ひとつずつ順番に解説していきます。
プラグラマー
プログラマーは、コンピュータを動かすプログラムを作る仕事です。
IT関係の仕事なので将来性もあり、フリーランスの職種として人気が高いです。インターネットやゲーム、スマホアプリの開発の依頼など、プログラマーの需要は多くあります。
ライター
ライターは、執筆物を提供する仕事です。Webメディアでのライターがフリーランスの仕事として特に人気があります。
Webメディアでのライターの人気が高い理由は、初期投資をほとんど必要とせずパソコン1台で仕事ができるからです。
動画クリエイター
動画クリエイターは、動画を作る仕事です。動画編集はもちろんのこと、動画の企画から台本、撮影、編集まですべて担当する場合もあります。
最近は、動画クリエイターの需要が高まっていてYouTubeやSNSでのショートムービーなど、動画編集クリエイターが必要な案件は多いです。
動画コンテンツは、まだまだ増えていく傾向にあるため、動画編集クリエイターの需要もさらに高まっていくでしょう。
デザイナー
デザイナーは、さまざまな分野のものをデザインする仕事です。WebデザインやゲームデザイナーなどIT関係のデザイナーが、フリーランスの職種として特に人気が高いです。
IT関係のデザイナーの仕事の依頼では、芸術性をそこまで必要としない場合も多々あります。
例えば、販売サイトのWebデザインの仕事です。この依頼は、より多くの人に商品を購入してもらうための顧客心理を考えたWebデザインを必要とするため、芸術性より心理学の知識が必要になります。
マーケター
マーケターは、商品を売るための仕組みを作る仕事です。商品を売るための仕組み作りだけでなく、今売れる商品の開発にたずさわる場合もあります。
Webに特化したWebマーケターが、フリーランスの職種として特に人気です。Webマーケターは、SNS運用やYouTube広告などWebを活用して、商品を売るための仕組みを作ります。
フリーランスの働き方が向いている人
フリーランスの働き方が向いている人には特徴があります。向いている人の特徴は以下の4つです。
- 主体的な人
- 学び続ける人
- 柔軟性がある人
- 自己管理能力がある人
特徴を知ることで、自分がフリーランスに向いているか把握できます。順番にみていきましょう。
主体的な人
フリーランスに向いている人の特徴は、主体的に動ける人です。主体的に動ける人とは仕事をより多く獲得し、クライアントのためになる提案をする人のことです。
フリーランスは自身で考えて選択して行動する必要があるため、主体的に動ける人でなければ継続的な仕事の獲得は難しいでしょう。
学び続ける人
フリーランスに向いている人の特徴として、学び続けるということも挙げられます。
プログラマーやライター、動画編集クリエイターなど、一度スキルを身につければ確かに仕事は獲得できます。しかし、身につけたスキルを向上させたり、他のスキルを身につけたりしなければ収入アップは見込めないでしょう。
柔軟性がある人
柔軟性がある人もフリーランスに向いています。
フリーランスはさまざまな仕事をこなします。クライアントの要求や考え方、方針もさまざまなので、クライアントに応じて臨機応変な対応が必要です。
また、chatGPTなど昨今AIの発展が著しく、どの職種でもAIを活用した案件も増えています。柔軟に対応して、時代の変化についていかなければ収入が減ってしまうかもしれません。
自己管理能力がある人
フリーランスに向いている人の特徴は、自己管理能力がある人です。
フリーランスは仕事をするうえでのルール、働く時間、働く場所をすべて自分で決める必要があります。そのため、仕事の納期を守るためのスケジュール管理は必須です。
フリーランスとしての仕事と出産や育児などのライフイベントや体調不良が重なったからといって、クライアントが納期を伸ばしてくれるといった配慮はしません。
フリーランスになるために必要なこと
フリーランスになるために必要なことは、手続きを済ませることと仕事を獲得することの2つです。
手続きを済ませずに仕事をしてしまうと、トラブルや問題が起きます。なので必ず、手続きを済ませてから仕事を獲得しましょう。
手続きを済ませる
フリーランスになるために必要なことは、各種手続きを自分で済ませることです。具体的な手続きは、開業届や確定申告、国民健康保険や国民年金です。
また、確定申告をする際に見積書・請求書・納品書も必要な場合があるので、こちらも一緒に準備するといいでしょう。
仕事を獲得する
フリーランスになるために必要なことは、仕事を獲得することです。収入がなければフリーランスと名乗れないため、自身で営業して仕事を獲得しましょう。
少しの収入でもフリーランスといえますが、生活費をまかなえる収入の仕事を獲得してから名乗る方がいいかもしれません。
未経験からフリーランスになる方法
今まで関わったことのない未経験の仕事や業種でも、フリーランスになれます。未経験の仕事や業種からフリーランスになる方法は、以下の4ステップです。
- Step1.方向性や職種を決める
- Step2.できるだけ事前準備をする
- Step3.スキルを身につける
- Step4.仕事を受ける
順番にみていきましょう。
Step1.方向性や職種を決める
最初に、フリーランスとしてどこまで活躍したいかという方向性と、どの職種で働きたいかを決めます。
フリーランスとして高収入を目指したいか、自由な時間をより多く確保したいか、目指す方向はそれぞれでしょう。どんな目的で会社員ではなくフリーランスになるのか、方向性を考えます。
フリーランスとして、どの職種で働くかも考えましょう。フリーランスのプログラマーとして働きたいか、フリーランスのライターとして働きたいかによって獲得する仕事も変わってきます。
Step2.できるだけ事前準備をする
次に、フリーランスになる前にできるだけ事前準備をしましょう。フリーランスになるには各種手続きが必要です。
フリーランスになってからも準備はできますが、フリーランスになってからは仕事に集中できるように、事前準備をしましょう。具体的な準備は、契約書や見積書・請求書・納品書の書類のテンプレートの作成などです。
Step3.スキルを身につける
未経験からフリーランスになるために、働きたい職種のスキルを身につけます。このスキルを身につけるステップを飛ばしても、フリーランスになれます。
しかし、フリーランスとして早く活躍するためには、事前にスキルを身につけたほうがいいです。独学やオンラインスクールなどスキルを身につける方法はさまざまです。
Step4.仕事を受ける
最後に、クラウドソーシングサイトでフリーランスとして働きたい職種の仕事を受けます。
仕事をしながら学べることもあるので、事前準備やスキル習得に時間をかけすぎず、早いうちから仕事を受けましょう。初心者でも受注可能な案件もあり、仕事という実践を通してスキルを磨くと効率的です。
まとめ
フリーランスとして働くためには、自己管理能力や自ら仕事を獲得する主体性など、会社員と違ったスキルや能力を必要とされます。
フリーランスはスケジュール管理が大変ですが、組織に縛られず自分で自由に働けます。自分にあった案件を受注でき、働く場所や時間も自由です。
未経験からフリーランスになる方法もあるので、ぜひフリーランスとして働いてみるのはいかがでしょうか。
